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僕らはただの友達で
僕と天月。
十六の春の二人の出会いに、きっと運命的なものなんて一つもない。
僕らが住む遠光台周辺には、小学校は三つ、高校は一つしかなった。だから別々の中学に通ってた僕たちも、必然的に一つの高校に集まることになっている。
だからその出会いに、運命的なものなんて一つもない。
天月詩乃は奇妙な少女だった。
中学を卒業して、高校に上がった男女の間には、恋愛に対する興味が沸き起こってくる。
けれど彼女は、そう言った年相応の感情に興味を示さなかった。
優しさに執着し、けれど、他人に対する興味というものが欠けている。
他人への優しさではなく、優しさそのものを求めていたのだから。
そんな天月も、高校一年の春。同じクラスの男子に告白されたことがある。
相手はクラスの女子達からも人気の、優秀な少年。
けれど彼女は、悩むことすらしなかった。
「え? んー、メリットがないから、やめときます」
そこからだった。彼女が女子達からイジメられるようになったのは。
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