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夏休みがやってくる。
終業式は滞りなく進んで、無駄に長い校長の話にお尻が痛くなった。十一年目になっても、体育館の固い板の床には全く慣れない。
通知表に赤の丸がなかったことだけが救いのような一日だった。おかげで天月との約束を、欠点者補修に奪われないで済む。
「二条さー、欠点何個あった?」
終業式からの帰り道、国道沿いのコンビニに屯っていると、隣に立つ友崎が尋ねてきた。
「いや、まずないから、友崎は?」
「え、学年13位にあると思ってんの?」
「はいはい、ないない」
適当な会話を続けつつ、安いソーダ味のアイスを食む。
僕の分は、学年上位を取って気分のいい友崎の奢りだった。
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