始まりの譜

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始まりの譜

どうもー、僕はそこら辺に居る平凡の高校生だった田中 依と申しますー。 だった。 過去形なのは数時間前に時間を遡ります。 「たらったっらんらんらんっ」 いつも通りの帰り道。 「え!?なにこれ!?」 目の前で光る魔法陣の上に立つ男が居る以外は。 「わぁー、これが噂の異世界召喚… よし、迂回しっ」 何故か置いてあったバナナを踏み盛大に転けた僕は その男の方に運悪く転けてしまい光る魔法陣に体を突っ込んだ。 そして、目が覚めた時には目の前には黒く腰辺りに赤い模様がある狼2匹に威嚇されてましたっ! 「いや、僕食べても美味しくないよ? 肉なんて殆どないし…あれ?痛くない?」 僕の言い訳なんて聞いてくれる訳もなく ガブリと腕を食い千切られたのに痛みが全くない。 あれから手足を食い千切られ内臓を食べられたのに 何故か少ししてから体が再生した。 「んー、何でだろう。」 手をグーパーグーパーしてみたけど 違和感は全くない。 お腹いっぱいでグースカ眠る狼をチラリと見て 周りを確認する。 後ろは見渡す限り木木木木木。 横は崖。そして、目の前は湖。 「んー…これは下手に動くと迷うよね。 僕なら尚更上手くいくはずないし」 幸い目の前はりんごがなってるし水もある。 まぁ、あれだけ食べられて死なないなら食べなくても死なないかな? 「僕も寝よーっと!」 服は再生してくれなくて寒いし 寄り添いながら寝る狼達の尻尾を布団替わりにして眠った ーー…… あれからどれだけの日数が経ったかハッキリした事はわからない。 というのもここは季節がないのかずっと変わらない景色だし、僕も髪の毛も伸びない。 一回髪の毛伸びないなぁなんて思ったらゾワゾワゾワっと伸びてきて驚いたけど、それ以来伸びてない。 あ、あと狼達と仲良くなった! とはいっても僕はお肉を提供して、彼等は僕に温もりとかをくれる。 暮らしてわかったのは、この世界がラピスという名前の事。 魔法が使え人間達は魔法学校に通っている事。 今いる場所は終焉の森で、此処には滅多に人は来ない事。 後は何故か狼達の言葉がわかる事くらいしかわかった事はないかなぁ。 「依、飯だ。食え。」 「ありがとうー!ティキ」 ボトッと落とされた肉の塊。 最初の頃はワァオとか思ってたけど 慣れたよね! 昔遭難とかよくしてたからサバイバルには慣れてる。流石に兎とか殺した事はないけれど。 「あれ?ユキは?」 ユキとティキは番なのだそうだ。 雄同士だけど子供も産めるのだと言っていた。 「巡回中。」 僕の腕を食べながら言った。 食べられるのがわかってからは 出来るだけ清潔にするようにした。 僕を食べてお腹壊したりしたら嫌だしね!
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