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高校生編 2話 王子様は変態である
わたしはセーラー服の赤いリボンをシュルンと抜き取った。汚部屋の床に行儀良く正座している浩太郎の後ろに回り、後ろ手で手首を縛る。これで勝手に手を出してくることはないだろう。まあ、浩太郎はそもそもそんなタイプでもないんだろうけど。
てか、何故か浩太郎の喉がゴキュリと鳴ったんだけど。
「よしっ、じゃーぁ、えーと、なにしよっかな」
ベッドに座り直し、正面から浩太郎を見下ろすが、まったく何も思い付かなくて首を捻った。イケナイことって、例えばなんだ?
「あの、提案なんだけど」
浩太郎がチラチラ上目遣いで窺ってくる。
「なに?」
「その、僕のを、足で踏んでほしい」
「……なんて?」
よく意味がわからなくて耳に手のひらを添えて頭を寄せる。だけど、浩太郎はモジモジと、それでもハッキリと発言した。
「僕の大事なところを、踏んでほしい。……出来れば冷たく蔑んだ視線つきで」
「……」
やべえ奴……こいつ、イケメンの皮被った、やべえ奴……。
なんとなく、ベッドから腰を浮かして、そのまま部屋を出ようかと試みる。ここ、わたしの部屋だけど。
「葉月ちゃん」
効果音「くぅ~うん」付きのウルウル瞳で見上げてくる浩太郎のビジュアルに、足が止まってしまった。
「葉月ちゃん、助けて」
ダメ押しとばかりに言ってくる浩太郎。
(……アンタ、イケメンの使い方間違ってるよっ)
「わ、わかった、そんな目で見ないで」
なんとなくドッと疲れが押し寄せてきたのを感じつつ、再びベッドに腰掛ける。
「よし、踏むよっ」
右足を軽く宙に浮かせると、浩太郎も正座を正すように身じろぎ、そして厳かに「お願いします」と言った。なんの儀式よこれ。
ちょっと躊躇われたものの、もう右足はあげてしまっているので、そのまま浩太郎の中心部めがけてゆっくり降ろしていった。わたしの紺色の靴下と、浩太郎のグレーの制服との色味の差が歴然で、どー考えても違和感だらけなんだけど、今か今かと待ち構える浩太郎の為に足の裏を押し付けた。
……すでにかたい……。
ちょっとビビって軽く足を上げると、浩太郎はモゾモゾと正座のまま足を開いた。
「もっと、強く苛めて」
……どうやらコイツは、本格的にマゾ変態のようだ。抑圧されすぎると、色んなところに支障が出るんだな。イケメン台無しだなっ。
でもある意味、わたしの腹も決まった。浩太郎が恥ずかしさをかなぐり捨てて、すがってきたのだ。それくらい追い込まれているんだろう。だったら、わたしだけでもコイツを楽にしてやってもいいんじゃないだろうか。
わたしは靴下をポイポイッと脱ぎ捨てた。
「本気を出してやろうっ」
「う、うん」
足の指をワシワシと開いて閉じてのストレッチを数度してから、股間を目指す。両足で左右から押さえ込むようにあてがって、グッと力をいれてみた。
「っう」
浩太郎が小さく呻く。
続いて左右の位置を上下にずらしてからゴシゴシと擦ってみた。浩太郎の頬が綺麗な桃色に染まっていく。親指と人差し指の間を広げて掴むようにあてがってモミモミと揉み込むように動かすと、浩太郎の唇が開いて、熱い吐息を洩らし、長い睫毛を震わせている。
正直言って、ビジュアルが半端ないっ。気を抜くと、その艶めく表情にポケーッと見とれてしまって、足が止まる。
「葉月ちゃん」
「え?」
熟れた果実のように甘ったるい表情の浩太郎が、見つめてくる。
「制服濡らすと、この後、塾で困るんだ」
「あ、そっか、ごめ、」
調子に乗りすぎたので素直に謝ろうとしたのに、浩太郎は浩太郎だった。
「ズボン、脱がしてくれる?」
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