高校生編 3話 いつもにプラス

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 わたしの通う高校は、ほんとに底辺のおバカな子が楽しく通っちゃう学校だ。右見ても左見ても同類だらけの、とてつもなく落ち着く世界。  今も休み時間に、友達と連れ立ってトイレでせっせとメイク直し。  真横ですんごい形相して色つきリップを塗りたくるモエチン(もえちゃん)に聞こうか、反対側で般若のごとく険しい表情でマスカラを塗りたくるカナッペ(かなちゃん)に聞こうか悩んだ結果、両サイドに向けて声をかけた。 「ねえねえ、二人ってさ、『刺激的』って聞いたら、どんなの浮かぶ?」  鏡から視線を外すこともなく返ってきた二人の回答は「ヒヤヒヤとか?」「じゃあ、ドキドキとか?」と、予想通りにイマイチなものだった。 「連想ゲームじゃないから。もっと具体的に言ってよ」 「ん? 違うの?」 「具体的に言っていいの?」  モエチンはトイレの個室ドアが全部空なのを、鏡越しに確認する。 「言って言って」  モエチンを煽るように手をヒラヒラさせると真顔で「外ハメ」と言われてしまった。さすが、ビッチの称号を持つ女王は堂々としている。だが参考にはならない。  クルリンとカナッペに向き直る。彼女のほうがまだわたしとレベルが同じだ。なんかいい案が出るかもしれん。  カナッペは剣山のごとく立ち上がった睫毛をバッサバッサ動かしながら明後日のほうへ視線を飛ばし、若干考えたのち答えた。 「縛る、とか?」  ……すでにやってるな。てか、それしてて刺激が足りなくなったアイツは、どういうこっちゃ……。 「他にプリーズ!」 「目隠し、とか?」  なるほど。だけど、あの浩太郎(へんたい)に目隠ししても効かなそうだな。視覚がどーとか訴えてきたばっかだし。 「他は?」 「うーん、……お仕置き?」  ……カナッペの現在の彼氏との何かしらが見え隠れしてて、何故かこっちが恥ずかしくなってきた。 「縛られて目隠しされてお仕置きされてんの?」  モエチン、すべてを言うなや。悟ってもお口チャックだぞっ。  結果的に、浩太郎に使えるものは、お仕置きぐらいかな。
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