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高校生編 1話 変な関係のはじまり
わたしの幼なじみには、すごいヤツがいる。いわゆる、顔良し頭良し金持ちだしっていうやつ。
幼稚園と小学校までは一緒で、ヤツの中学受験を機に別々の道へ進んだ。
んで現在お互い高校生で、ソイツは有名進学校の高そうなグレーの学ラン制服。わたしは底辺学校のうっすいペラペラのセーラー服。ソイツは一度も手を加えられたことがない艶々髪に天使の輪ができそうなキューティクルと、お伽噺の国の王子様ばりの気品漂う綺麗な顔。んでわたしは、何度も色染めまくって傷みまくった赤茶けた髪に、赤いリップとマスカラ命な派手顔。
こんな真逆なのに。あの時別々の道を進んでから、もう交わることはないはずだったろうに……。
「はぅっ、はぁはぁはぁ」
狭いアパートの一室、唯一の家族であるママが今いないとはいえ、襖一枚で閉め切っただけのわたしの汚部屋で、美しい顔した男、如月浩太郎のなまめかしく荒い息づかいが響く、とてつもなく。
「ちょっと、声でかいから」
「ご、ごめんっ」
頬を上気させて上目遣いでそう呻くように謝る浩太郎に、若干気を良くして、足先に力を込める。
「っう」
すぐに浩太郎は反応して前屈みになる。それを右足で顎を持ち上げるようにして止めてやる。
「嫌ならやめるよ」
「ごめんっ、し、してくださいっ」
一見、わたしが一方的に苛めているように思えるだろうけど、説明させて。
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