1.お悩みは野良猫に

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 私の仕事は小説を書くこと。嘘と誠をおりまぜて言葉を紡いでいく。それぞれの登場人物の声にならない思いを、一つ一つすくい上げ物語に仕立て上げる。それともうひとつ、雪希が聞いてきた依頼を解決して暮らしている。まぁ、ちょっとだけ普通じゃない力を使ってね。ちょっと厄介で、一筋縄ではいかない依頼が多いけど、雪希ともう一人、仕事を手伝ってくれる奴もいるので、なんとか今までやってこれた。そのもう一人は、頼りになるかと言われると、ちょっと答えにくいが……。いつのまにか家に居ついて、手伝ってくれている。まぁ、そいつの話は追い追いと。 「でね、その子の家族もみんな、もうそのおじいさんが以前のように、運転できなくなってきていることに気がついているんだけど、家族に言われると、そのおじいさんプライドが邪魔して、分かったって言えないみたい。いつも大丈夫の一点張りで、終いには怒りだしてしまって、話し合いにならないんだって」  そこまで、話すと雪希は前足をペロリと舐めた。 「ありがちな話しよね。でも、その子はおじいちゃんが心配なんだ」 「そうみたい」 「じゃぁ、雪希いつものお願いね。続きは向かいながら話しましょ」  私は銀色のノートパソコンを閉じて、立ち上がった。 「うん。オッケー」  雪希が尻尾をくるくるとくねらすと、私は金色の光に包まれて、光がゆっくりと小さくなっていくに従って、体も小さくなって、灰色の被毛に青い目の猫に変身した。 「よし。じゃ、案内よろしくね雪希」 「オッケー! しっかり着いてこいよ」  雪希は長い尻尾をピンと立てて、得意げに歩き出した。
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