19人が本棚に入れています
本棚に追加
家から五百メートルほど離れたところにある公園に着くと、そこに住んでいる、サビ猫のところにつれて行ってくれた。
大きな金色の目を縁取る、アイラインのような模様が印象的で、とても賢そう。その仔の名前はトーティ。
母性本能が強いサビ猫らしく、寂しそうにしていた女の子をなぐさめに近づいたとのことだ。
それからというもの、毎日のようにご飯を届けてくれるようになり、今回の依頼を聞くに至ったと、女の子の家に向かう道すがら話してくれた。
「ここよ。あの子が依頼者よ。そして、あっちが例のおじいちゃん」
あやしまれないように少し離れた場所から、家の中をうかがう。
「わかったわ。ありがとう」
一通り話し終えると、トーティ「どういたしまして」と、満足そうに体をすりつけて、帰って行った。
よし、そうしたら仕事は今夜ね。帰ってあいつにも言わないとね。そろそろ起きた頃かしら?
そうそう、帰る前にこれだけはやっておかないと――『契約の儀式』
最初のコメントを投稿しよう!