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1.沢渡さん家の双子は似てない
私の名前は柏木麻里。いたって普通の高校一年生だ。
背も容姿も、贔屓目に見ても普通。勉強だけはちょっと出来るけど、運動は苦手。
まず間違いなく、物語の主役にはなれないタイプの人間だ。というか、なりたくない。ひっそりと日陰に紛れて生きていきたい。
普通万歳。
――けれども、そんな普通の私には、全く普通ではない幼馴染がいる。それも、二人も!
「ちょっと。あたし学校行くんだけど……目障りだから消えてくれない?」
「ほう、それは奇遇だな。僕も学校へ行くところだ。お前の方こそ消えてくれないか?」
「はぁっ? アンタが時間をずらせばいいじゃない! なんでこの時間に出るのよ!」
「僕にはこの時間帯がベストなんだ。お前の方こそ、部活の朝練があるんじゃないのか? もっと早く出たらどうなんだ――」
朝の通学路で、私を挟んで盛大な口喧嘩を繰り広げている美男美女が二人。
男の子の方は、沢渡光太郎。すらりとした長身が目立つメガネ男子で、眉目秀麗・成績優秀。中学では生徒会長も務めていた。
女の子の方は、沢渡律。低身長ながらも抜群のスタイルを持つ美少女で、容姿端麗・スポーツ万能。中学では剣道部の主将を務めていた。
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