1.沢渡さん家の双子は似てない

1/3
前へ
/18ページ
次へ

1.沢渡さん家の双子は似てない

 私の名前は柏木麻里(かしわぎ まり)。いたって普通の高校一年生だ。  背も容姿も、贔屓目に見ても普通。勉強だけはちょっと出来るけど、運動は苦手。  まず間違いなく、物語の主役にはなれないタイプの人間だ。というか、なりたくない。ひっそりと日陰に紛れて生きていきたい。  普通万歳。  ――けれども、そんな普通の私には、全く普通ではない幼馴染がいる。それも、二人も! 「ちょっと。あたし学校行くんだけど……目障りだから消えてくれない?」 「ほう、それは奇遇だな。僕も学校へ行くところだ。お前の方こそ消えてくれないか?」 「はぁっ? アンタが時間をずらせばいいじゃない! なんでこの時間に出るのよ!」 「僕にはこの時間帯がベストなんだ。お前の方こそ、部活の朝練があるんじゃないのか? もっと早く出たらどうなんだ――」  朝の通学路で、私を挟んで盛大な口喧嘩を繰り広げている美男美女が二人。  男の子の方は、沢渡光太郎(さわたり こうたろう)。すらりとした長身が目立つメガネ男子で、眉目秀麗・成績優秀。中学では生徒会長も務めていた。  女の子の方は、沢渡律(さわたり りつ)。低身長ながらも抜群のスタイルを持つ美少女で、容姿端麗・スポーツ万能。中学では剣道部の主将を務めていた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加