1.沢渡さん家の双子は似てない

3/3
前へ
/18ページ
次へ
「……私は嬉しいけどな、二人とまた同じ学校に通えるの。光太郎と律は、私と一緒じゃ嫌?」 「そんなことある訳がない。コイツが一緒なのが気に食わないだけだよ」 「それはこっちの台詞ですぅ~! あたしと麻里の通学の邪魔だから、光太郎はとっとと消えてください~」  それとなく、二人に「喧嘩は止めよう?」と促してみても、この有様だ。  二人とも、私の事を親友だとは思ってくれているらしいけど、私の為に喧嘩を止めようとまでは思ってくれないらしい。  どこからどう見ても、お互いを世界で一番嫌い合っている双子にしか見えないだろう。  けれども、実は違うのだ。二人の本心は違うのだ。  その事実を、この世で私だけが知っている。二人が心の奥底に隠した、本当の気持ちを――。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加