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「しっかり魔法でチェックしてる辺り、抜け目ないですねアイリーン様……」
「あら。なんの根拠もなく疑ってかかるより、よっぽどフェアなやり方じゃない?」
あんまり部下をいじめると、お父様に言いつけちゃいますからね――と半ばパワハラ事案になりかけたことに、釘を刺される。最近は魔界もコンプライアンスに厳しいのだ。
その辺りの職場環境の改善も、アイリーンは期待されているのである。事情聴取はクリーンに。オープンに。
次世代の魔界を担う者として、アイリーンはムラゾウに問いかける。
「黙って嘘感知の魔法を使ってしまったことは謝罪するわ、ムラゾウ。でもこれも、あなたの疑いを晴らすためだから」
「ううっ……アイリーン様ぁ……」
「お嬢様。魔法といえど、すり抜ける手段はいくらでもあります。完全にシロと判断するにはまだ早いかと」
にこりと笑いかけるアイリーンに、すがるように抱き着くムラゾウ。
そして主からムラゾウを引きはがすフィオネル。三者三様の立場だが、役割自体ははっきりしていた。
探偵と、第一発見者。
そして助手。
果たしてこの中に、犯人はいるのか――。
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