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そして気になるのは、占いの結果はどういうものだったかで――。
「……妹には装飾品などどうか、と言われまして。それを月華の魔術師に相談したところ、これを渡されました」
本当は、こんなところではなくもっとちゃんと包装して渡すつもりだったのですが、と前置きしつつ、フィオネルは『それ』を取り出す。
彼の手にあったのは、金色の模様が刻印された赤のリボンだった。
「月華の魔術師の守護の魔術が刻まれたリボンです。最近お嬢様は、危ない事件に顔を出す機会が増えましたので……せめてものお守りを、と」
なめらかな生地に刻まれた金色の魔術文字は、薄く輝いている。
金色の髪と赤い目を持つアイリーンが身につければ、さぞ似合うことだろう。
差し出されたリボンを受け取り、アイリーンは呆然とした口調で言う。
「本当に……私のためだったの?」
「はい。まあ……当日まで秘密にしているつもりが、かえってご心配をおかけしてしまって申し訳ないというか」
「そんなことないわ! ええ、そんなことないの!」
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