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執事の様子がおかしかった理由が、むしろ自分を喜ばせるためだったということが分かり、お嬢様はぱっと瞳を輝かせた。
今までの不安は、全部杞憂だったのだ。
渡されたリボンを、アイリーンは宝物のように見つめる。
「ありがとう、フィオネル……大事にするわ。危ない場所には行くけど。気になる事件にはどんどん首を突っ込むけど」
「大事にする、の意味を問いただしたい気もしますけど、最近はお嬢様の探偵魂を止めるのは諦めてきましたので追求しないことにします」
「ところで兄ちゃん。そのリボンはどこで手に入れたんや?」
ほのぼのと言葉を交わすお嬢様と執事に、スズエが問いかけた。
今日ずっと彼の行動を監視してきたが、花束はともかくリボンを買う時間などなかったのだ。
月華の魔術師に渡されたということだが、リボンに決めたのは占いをした後だったはずだ。
だとすると、フィオネルはどこでこのリボンを手に入れたのか。
その答えを、執事はなんでもない口調で言う。
「ああ。そのリボンは花束についていたリボンなんですよ」
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