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「え」
「なんやて?」
にこやかに口にするフィオネルに、ムラゾウとスズエはそろって固まった。
ちなみにアイリーンは、執事の発言に一気に石像のように動かなくなっている。
「月華の魔術師殿にプレゼントの内容について相談しましたところ、『あ、これでいいや』とおっしゃられまして。花束を飾っていたリボンを使うことになりました。『これでキミとお嬢様の絆も深まるよ~ニシシ』と渡されたのですが」
「フィオネル様、それ……それ……」
いたずらっぽく笑う、謎の占い師の姿が見たこともないなのに目に浮かぶようであった。
膨れ上がる嫌な予感に、ムラゾウは汗を滝のように流す。
横から聞こえてくる地鳴りのような音は、確かにアイリーンから発せられていた。
よくよく思い返してみれば、確かに花束を結ぶリボンは赤だった。
しかし、よりにもよってそれにすることないのではないか。
ムラゾウは月華の魔術師に心の中で抗議していると、アイリーンが言う。
「……確かに、ようく見ると何かを結んでいた形跡があるわね。このリボン」
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