誰かからの挑戦状

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誰かからの挑戦状

「つまり、楽譜庫の案内魔法が何者かの手によって書き換えられた、ということよね?」  ぐるりと楽譜庫の中を見渡して、質問をしたのは魔王の娘・アイリーンだ。  正真正銘のお嬢様。そして、探偵を志す者。  事件の匂いに反応してやってきた彼女に、楽譜庫の管理人であるイアンナがうなずく。 「はい。楽譜の場所を表示する案内板が、少し前から急におかしくなりました。検索をかけてもデタラメな場所を示されるし、あてずっぽうで違う楽譜を手に取ったりすると、外れだと魔法で煽られるし。それで怒り狂って暴れる馬鹿もいるし、ほとほと困ってます」 「それに関しては私の執事が迷惑をかけたわね」  先ほど不正解の場所を引き当てて小馬鹿にされ、逆上した執事はイアンナの鉄拳により床に転がされている。  白目をむいてノックダウンしている自分の執事を一顧だにせず、アイリーンはふむ、と唸った。
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