誰かからの挑戦状

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 まあ、どちらかというと正確には『解けるものなら解いてみろ』というニュアンスに近いのだと思うけれども――とアイリーンは、くるりと振り返って楽譜庫を見た。  そこには、魔界の様々な楽譜が収められている。 「解けるということは――この一件で出た記号や数字には、必ずなんらかの法則性がある、ということよ。一見してデタラメだけど、そこには必ず、筋の通ったルールがあるはず」  つまりこれは、誰かからの挑戦状なのよね。とアイリーンは肩をすくめた。  謎を解き明かせば。  隠されたルールを暴くことができたならば――この状況は元に戻してやる、という挑発じみた行い。 「まったく、私の目の届く範囲で大それた真似をしてくれるわ。探偵を目指す私の庭で――こんな」  楽譜庫を見渡し、アイリーンは目を爛々と輝かせた。  一見して訳の分からない、デタラメに見える数字の羅列。  不届きな行いにも関わらず、彼女は興奮を隠しきれない様子で言う。 「()()だなんて」
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