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それは、虹の暗号
暗号、と魔王の娘・探偵志望のアイリーンは言い切った。
魔王城の楽譜庫。そこに施された案内魔法が何者かの手によって改竄されたのだ。
案内板に目的の曲名を入力しても、表示されるのは嘘の棚番号ばかり。
しかし、その番号には一定の秘された意図がある――暗号である、とアイリーンは言う。
「さしずめ虹の暗号、といったところかしら。七つの本棚が、七色に分かれているのだから」
「解読を間違ったときに表示されるのは、こっちを馬鹿にしまくった金文字ですけどね……」
暗号で興奮した様子のアイリーンに、げんなりと応じたのは彼女の執事であるフィオネルだ。
先ほど不正解を引き当てたフィオネルは、イタズラの施された案内魔法に手ひどくからかわれている。その際に出てきた金文字に逆上して楽譜庫そのものを破壊しかけた彼だが、楽譜庫管理人に物理で制止され、今では少し冷静さを取り戻していた。
アイリーンの言ったとおり、魔王城の楽譜庫の棚は七色に分かれている。
赤、橙、黄、緑、青、紫、黒。魔界の虹の定義に対応した、七つのカテゴリ。
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