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第一発見者が犯人だった、というパターンは珍しくない。先ほどはアイリーンの嘘感知の魔法に引っかからなかったが、何らかの方法ですり抜けることは可能である。
例えば、魔法で記憶を消しているとか。まあ、ミノタウロスであるムラゾウは、そこまで高度な魔法は使えなさそうだが。
そうでなくとも、マジックアイテム等、方法はいくらでもある。この辺りを考え出すとキリがないため、まずは動機の面からフィオネルは攻めることにした。
問われて困った顔をしたムラゾウは、そのまま首を傾げる。
「まあヤツには確かに、お金を貸したりはしてましたよ? けれども多少延滞したくらいで、殺してやるなんて……」
「あの。ムラゾウ。今嘘感知の魔法に微妙に引っかかったわ……嘘はいけないわよ?」
「なっ、貴様……!」
「違う違う違う! 信じてくんろ!」
身構えるフィオネルに、必死に否定するムラゾウ。
自らの魔法の手ごたえに、渋い顔をするアイリーン――そんな三人の元に。
「ご報告申し上げます、フィオネル様!」
ウサギの耳と額から飛び出た角を持つ、モンスターが話しかけてきた。
衛兵の証をつけた一角ウサギは、ひざまずき次の事件の内容を告げる。
「宝物庫にて、暗黒竜ダラグネル様の遺体が発見されました!」
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