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真実はいつも
「考えてみれば、おかしな部分はまだあったのよ」
自らの執事の背中を追いかけながら、アイリーンは言った。
「休みの日にでかけたのは、確かに妹さんに会いに行くためでもあったかもしれない。けれど、それじゃあ挙動不審だったことへの説明がつかないの。
まだ事件は解決していない。答えは、これからフィオネルが向かう先にある」
ただ家族に会うためならば、ただ普通にそうだと言えばよかったのだ。
なのに口にしなかったということは、アイリーンに知られたくない何かがあるということである。
尾行対象であるアイリーンの執事・フィオネルの手には、道中で買った花束がある。
妹に会ってもまだ持ったままということは、あの花束はまた別の誰かへの贈り物ということだ。
一体、誰のために花束を買ったのか。
最近様子がおかしかったのは、どうしてなのか――。
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