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ずっと抱えてきた不安を口にするアイリーンに、ムラゾウとスズエは顔を見合わせた。
「うーん、それはちょっと、考え過ぎかもしれませんけど……」
「もしかしたら寿退社かもしれんなあ!」
「スズエはちょっと黙っててよ⁉」
能天気にボケてくるスズエに、ムラゾウは鋭く突っ込む。
通りを行くフィオネルは、往来に紛れてふとした瞬間に見えなくなりそうになる。
見失わないように急ぎ足で歩きつつ、ムラゾウはアイリーンに必死になって言った。
「さっきも言いましたけど、アイリーン様はやっぱり、フィオネル様と直接話し合うべきです。いろんなことが分からないままに考えてたら、すごく不安になっちゃいますよ。そうなる前に、真実を訊いてみた方が良いんじゃないですか」
「真実……」
「そう。アイリーン様が大好きな、真実です」
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