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「分からん。姉ちゃんかもしれんしオバハンかもしれん。魔術師だけあって謎めいてるっていうのが色んな話を聞いた感想やな。でも、基本的には女性らしいで」
「女性……」
執事は、誰か女性に渡すために花束を買ったのではないか――ここに来るまでに出た意見が、全員の脳裏をよぎる。
月華の魔術師は女性。
なら、彼女への贈り物として花束を用意したのだろうか。
その疑問を、情報通のスズエが否定した。
「いやあ、どうやろ。やっこさん、月華の魔術師っちゅうだけあって占いの代金に花もカウントしとるらしいからなあ。花束はここの占いの代金として用意したのかもしれん」
「占いの料金に、花?」
「らしいで。花の精気を吸うとかただ愛でるだけとか、色々言われとるけど」
どういう仕組みかこの館では、花が通貨として適用されるらしい。
詳しいカラクリは不明だが、その話を信じるなら執事が用意したあの花束は、占いの対価ということになる。
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