たどり着いた目的地

4/4
前へ
/162ページ
次へ
 頼む、頼みますよフィオネル様――と、背中をつたう汗にムラゾウは、心中で必死に祈りをささげていた。  あなたの一挙手一投足で、これからの魔界の運命が決まるかもしれないんですから。  というか、この氷河の中の活火山みたいなアイリーン様、爆発させないようになんとかしてください――!  そんなムラゾウの願いが届いたのか。  占いの館から、フィオネルが出てきた。  館に入る前まで持っていた花束は、彼の手にはない。  ということはやはり、この館で何らかの目的でもって使われたのだ。  目指すものは、ここにあった――。  そう確信したムラゾウとスズエをよそに、アイリーンがすっと前に出る。 「……フィオネル」 「……アイリーン様?」  尾行のための術を解き、姿を現したアイリーンに。  フィオネルは目を丸くして、立ちつくしていた。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加