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執事の告白
「アイリーン様、どうしてここに……?」
目の前に現れたアイリーンに、フィオネルは呆然と声を上げていた。
本来ならば魔王の娘という立場上、アイリーンは城の中にいるはずである。
それがどうして、城下町にいるのか。
理解が追い付かず固まるフィオネルに、アイリーンがずいと詰め寄った。
「どうしても何も、貴方の様子が最近おかしいから、後をつけてきたんじゃない」
「は、私の様子が、ですか」
「たまに上の空で返事をしないことがあるし、どうしたのか訊いても誤魔化すばかりでちゃんと答えてくれないし。気になってお城を抜け出してきたわ」
憮然とした顔で言ってくるアイリーンに、段々とフィオネルも事態を飲み込み始めたらしい。
気まずげに追い詰められた執事は、目を泳がせ始める。
すると彼の視界に、アイリーンとは別の者たちが入ってくる。
「あー。残念ながら執事の兄ちゃんの行動は、全部見張らせてもらっとった」
「フィオネル様、観念して本当のことしゃべった方が身のためですよ……?」
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