執事の告白

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 ため息をつきながら進み出てくるミミックのスズエに、おずおずと進言してくるミノタウロスのムラゾウ。  彼らとアイリーンの三名は、今日フィオネルの行動をずっと見ていた。 「花屋に寄ったところから、妹さんの家に寄ったところまで。さらに、この占いの館に入ったところまでな」 「な……妹のところに行ったのも見ていたのか、おまえら⁉」 「あ、やっぱりあれ妹さんだったんですね」  道中でフィオネルによく似たダークエルフの女性を見かけたが、あれはやはり彼の妹だったらしい。  休みの日に、家族に会いに行った。  それ自体は別にいい。問題は、ここに来るまで持っていた花束はどこにいったのか――フィオネルの目的はなんだったのか、である。  主人であるアイリーンにすら隠さねばいけない秘密とは、なんだったのか。  この期に及んで口を閉ざしたままのフィオネルを、アイリーンは口をへの字にして見上げた。  つまり、泣きそうな顔をした。 「……やっぱり、私には言えないような良くないことなの?」 「うっ……」
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