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「私の執事の任を解かれてしまうの? さようならしてしまうの?」
目に涙を溜めたお嬢様にこうまで言われては、折れざるを得ない。
ぐぐぐ、とうなったフィオネルは一転して大きくため息をつき、渋い顔で言う。
「そうまでお嬢様に心配させてしまったのは、私の失点ですね……」
「もったいつけとらんで、キリキリ白状せい」
「そうですよー。こっちも城から出てきたアイリーン様をエスコートしたり守ったり、大変だったんですから。ここまで来たら真相を聞かせてください」
「おまえらは全くお呼びでないのだが……まあ、お嬢様をここまで護衛してくれたんだ。そこは、感謝する」
横から出てきたスズエとムラゾウに一瞬フィオネルは半眼になるが、覚悟を決めたらしい。
一行に対して向き直り、休日の執事は言う。
「今回、私が城下町に来たのは」
『来たのは?』
固唾をのむアイリーンたちに、フィオネルは少しだけ照れた顔をした。
「……お嬢様への、プレゼントを買うためです」
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