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今日一番のミステリー
「……プレゼント?」
執事の突然の告白を訊いて。
アイリーンたちは、目をぱちくりとさせた。
最近、執事・フィオネルの様子がおかしいと、城を抜け出して動向を探っていたアイリーンだったが、この返答は完全に予想外だったのだ。
さしもの探偵を目指すお嬢様も、動揺でいつものように推理ができなかったということか。
きょとんとするアイリーンに向かって、フィオネルは言う。
「……今度、私がお嬢様付きになった記念の日があるでしょう。そこで、何か贈り物をすることはできないかと思い」
「あ……」
ひょっとしたらその日付でフィオネルが執事の任を解かれてしまうかもしれない、と。
自分自身が言っていたことを思い出して、アイリーンは声を上げた。
在任期間があまりに長いと、異動もあり得るのでは――そんな不安から出た推測ではあったが。
真実はむしろ逆で、執事はこれからも一緒にいるために動いていたのである。
それが分かってぽかんとするお嬢様たちに、フィオネルは続ける。
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