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「女性相手のプレゼント、となると何を選べばいいか分からず……とりあえず妹に訊いてみることにしました。手土産に花を買っていったのですが、そこで妹に月華の魔術師の占いを勧められて」
「あ、元々あの花束は妹さんにあげるつもりで買ったんですね」
今日一連の行動を説明しだすフィオネルに、アイリーンと一緒にいたムラゾウがうなずく。
最初にフィオネルを尾行し始めたとき、彼は街角で花を買っていた。
花なんて、女性に贈るために買うに決まってる――そのとき出た発言は、正解だったのだ。
「とても当たると評判だったので、行ってみてはどうかと。代金は花で支払えるということだったので、この花束はそちらに持っていけと妹に渡されまして、館にやってきました」
「巷の女子の間で噂の占い師やからなー。妹さんも、もちろん月華の魔術師のことは知っとったんやろ」
妹の家から花束を持って出てきた事情に、同じくアイリーンと行動していたスズエもうなずく。
占いの対価は花で良い。
その言葉のとおり、フィオネルは月華の魔術師に花束を渡し、館を出てきたのだ。
ここまでが、ついさっきまでの流れだ。
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