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「ほんと優しいし強いね、さたっちは。よーし、決めた! 今度はあたしが協力するよ!」
「えっ、いやその、別にそこまでしてくれなくても……」
「いいの、いいの! させてよ。この場で済む協力だからさ♪」
そう言うと、彼女は携帯を操作しはじめる。画面に目を落とし、指の動きは止めないままで
「昨日えももに聞いたんだ。しばらくバイト行かないよう言われたんでしょ?」
「……はい。ちょっと事件がありまして」
「それも聞いたよ」
「昨日もお店に行かれたんですか?」
告白してフラれたのが一昨日なら、その翌日も会いにいったことになる。私には到底できないだろう。
「ううん、違う。これ見て」
彼女が見せてくれたのは、トーク画面だった。目を凝らすと、相手からは、かなりの長文が綴られている。こんな絵文字一つない堅苦しい文章を書くのは、知る限り彼しかいない。
「まぁ簡単に言うと、えももに頼まれたんだ。さたっちを励ましてくれ、って。
面白かったよ〜。あたしにお願いするのは違うかもしれないけど、頼みたいって一生懸命だった」
「……江本さんがそんなことを?」
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