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「糸巻き、ハサミにテープ……ってこれなんですか」
料理人というよりは、工作の先生のような持ち物だ。
「どうせ帰っていただけないのなら、手伝ってはいただけませんか」
なにをかは全く分からなかった。
でもとにかく頷くと、江本さんは近場にあった空の段ボールを組み上げ始める。
「これをどうするんです?」
「火をつけるとなれば、正面突破してくることは考えづらい。なので、裏口に足止めのための仕掛けを作りたいのです。ただどうにもうまくいかず……」
「江本さん、こういうの得意じゃないんでしたっけ」
そういえば、看板作りの時もえらく苦戦していた。
「はい。なので、よろしければ」
「もちろんです! 力になりたくてきたんです」
開けた場所を求めて、倉庫の中に移動する。
ホールに出ないのは、万が一にも外から私がいると見られないようにするためだそうだ。私は江本さんに指示してもらいながら、仕掛けを拵えていく。
といっても、そう大層なものじゃない。できるだけ目立たないように、ダンボールの上部から糸を巡らせる程度の話だ。
どう犯人を引っ掛けるのかといえば、
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