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「足で踏むなど、動かせば、ダンボールに入れた貝殻が落ちるように仕組みます」
「そんな単純な方法に引っかかります……? 私ならかかるかもですけど」
なんというか子供騙しだ。だが、江本さんはあくまで自信ありげに、ふっと軽く微笑む。
推理を披露する時と同じ口ぶりで、軽やかに説明する。
「中に侵入するのなら、まずかからないでしょう。なにせかなり単純な仕掛けですから。
けれど、外という環境ならばどうでしょう」
「……たしかに外なら、もっと別のものを警戒するかも?」
「ご名答。人の気配を気にするのが先でしょう」
たしかに使い方次第かもしれない。納得した私は、作業のピッチをあげていく。完成すると、
「決してここから出ないでください」
そうぴしゃり忠告をして、江本さんは外へと出ていった。
物言わぬ食材たちに囲まれた無音の空間の中、一人になって少し冷静になる。まさか店を燃やすとまで話が進展するとは、正直いって、想像の範疇を超えていた。弱気が心を陰らせる。少し震える手を私はぱんっと叩いて合わせた。
私の問題だというのに、江本さんがここまで協力してくれているのだ。私がくよくよしてる場合ではない。
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