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そのくらいの店は、この雑多な繁華街にはざらにある。居酒屋にバーやバル、露店まで。国籍さえさまざまな飲み処が客を奪い合ってひしめき合う街なのだ、私のホームタウンであるここ、台東区・上野の御徒町は。
まだ七時だが、もう道の真ん中には酔っぱらいがへたり込んでいた。昼から飲んでいたのだろう。すっかり出来上がって、なにやら叫んでいる。
私もそうしたい、好き勝手喚いて、子供じみてしゃがみこみたい。したいのは山々だったが、まだそこまで自分を捨てられもしないのが私だった。
世間体も、リクルートスーツへのダメージも気になってしまう。だから私は密かに、運命とやらへの憎しみをボロになってきたパンプスにこめる。
「なんなのよ、ほんと」
せいぜい、こう呟くぐらい。
これまで私は、何度裏切られても、最後には運命を信じてやまなかった。信じては裏切られ、もう懲り懲りだと思うのだが、それは喉元にいる間だけ。また気づけば、私は運命にすがりついてきた。
でも、その運命は、なに一つ私にいいものを残してくれなかった。
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