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同じく器用さを要する料理での完璧ぶりを見ているだけに、別人かのようだった。助けてあげたいところだが、私は私で平凡すぎる。私たちを合わせて二で割ったような人がいれば、ちょうどいいんだけど……と、そこで思いついた。
そんな人はいなくても、二では割れるではないか。私はパレットに寝ていた太筆に黒の絵具を染み込ませる。
「えい!」
そして、用紙に思い切り撫でつけてやった。
「……佐田さん? なにを」
「血迷ったわけじゃないですよ。私が大枠を描いて、江本さんが細かいところのデザインをするってどうかなと!」
店名を大きく書く。うん、我ながらバランスは悪くない。
「下書きは描かないのですね」
あ、忘れていた。
「だ、大丈夫ですよ! ほら、端っこの方にお料理の絵描いててください!」
「……かしこまりました」
一日一回やらかさないといけない決まりでもあるのだろうか、私は。いずれにしても、こうなった以上は仕方ない。
全体を見ながら、二人で少しずつ筆を入れていく。
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