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江本さんの受け答えが鈍い。爆発のダメージは彼も負っていたらしい。嫌だと思われてなければいいな、とは思った。でもポーカーフェイスからそこまでは読み取れない。
「……坂倉教授は、最初から僕を学会に連れていくつもりはなかったのです。僕のところへ連れてこれば、国見さんを説得してくれる。そう考えていたのですよ。僕が発表したがらないのは、もちろん分かっていらしたでしょうから」
「えぇと、じゃあなんというか最初から仕組まれていたってことですか」
「そういうことでございます。……今日、夕方早くに現れたことで、それは確信に変わりました。夜にスピーチの練習をすることまで先生は初めから想定していたんですよ」
爆弾魔どころの話ではなかった。
最初から最後まで、ずっと私たちは坂倉教授の手のひらの上で転がされていたみたいだ。さすがは、江本さんの恩師というだけある。
「付き合わせて申し訳ありませんでした。……少し疲れましたね」
「はい、結構」とくに最後の最後でぐっときた。
まだ開店してから一時間も経っていないけれど、心が休息を欲していた。
「糖分の補給でもいかがでしょうか。最適な郷土菓子がございます」
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