2人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めると、真っ暗な部屋の中に横たわっていた。手足は頑丈に縄で縛られ、身動きができない。
「んんー!うんんんーー‼」
口にも布が詰められていて声を出しても音にならない。
——私が何したっていうのよ!
首だけ動かして周りを見ると、私が寝ている隣に蜷局(とぐろ)を巻いた蛇の石像が神棚に祀られている。
——あれはご神体?
つまりは私が横たわっている場所は祭壇ということになる。
一刻も早く逃げなくちゃいけない気がして、必死に縄から抜けようとする。
「無駄よ」
部屋の扉が開かれ、誰かが入ってくる。声からして女だ。
声の主は段々とこちらに近づいてくる。月明かりに照らされ、女の顔が明らかになる。
「あんん⁈」
見知った顔の女が私を冷めた目で見降ろしている。その手には鋭利な刃物が握られていた。何をされるか一瞬で悟り、私は逃げようと身体を動かすが女に押さえつけられる。
——なんで、なんでよ!
「さようなら」
「んんんーー‼」
私の叫びも空しく私の胸に刃物が振り下ろされた。
最初のコメントを投稿しよう!