生贄旅館

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 目が覚めると、真っ暗な部屋の中に横たわっていた。手足は頑丈に縄で縛られ、身動きができない。 「んんー!うんんんーー‼」 口にも布が詰められていて声を出しても音にならない。 ——私が何したっていうのよ! 首だけ動かして周りを見ると、私が寝ている隣に蜷局(とぐろ)を巻いた蛇の石像が神棚に祀られている。 ——あれはご神体?  つまりは私が横たわっている場所は祭壇ということになる。  一刻も早く逃げなくちゃいけない気がして、必死に縄から抜けようとする。 「無駄よ」  部屋の扉が開かれ、誰かが入ってくる。声からして女だ。  声の主は段々とこちらに近づいてくる。月明かりに照らされ、女の顔が明らかになる。 「あんん⁈」  見知った顔の女が私を冷めた目で見降ろしている。その手には鋭利な刃物が握られていた。何をされるか一瞬で悟り、私は逃げようと身体を動かすが女に押さえつけられる。 ——なんで、なんでよ! 「さようなら」 「んんんーー‼」  私の叫びも空しく私の胸に刃物が振り下ろされた。
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