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「真生、家を買おうと思うんだ」
「家?」
「港の近くに見つけたんだ、白い家。
家の前の海岸線沿いにガス灯が並んでいて、霧が少し出て綺麗だった。
……真生、俺は人生で何人も好きになれるほど器用じゃない」
そんな利樹の言葉を聞きながら、私もです、と真生は思っていた。
「俺が高坂でも、そうじゃなくても。
今度は飽きるほどお前と一緒に居たい、真生――。
そして、高坂が死んでもお前を覚えていたように。
きっと俺も死んでもお前を覚えていて。
生まれ変わっても、また、お前を探すだろう」
真生、と囁き、利樹は唇を重ねてくる。
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