いつか、あなたに恋をする ~終わりなき世界の鎮魂歌~ その後

2/77
350人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
 院内放送の流れる病院のロビーを歩いていた。  ごった返す待合室を見ながら津田秋彦は、今日も満員御礼だな、と八咫(やた)に殴られそうなことを思っていた。 「満員御礼ってなんだ。  店じゃないんだぞ」 とか言ってきそうだな、あの生真面目な理事長は、と秋彦は思う。  だが、やり手の理事長のおかげか、病院は今日も盛況だった。 「おい、秋彦」 と声がして振り向いた。  そこに居た白衣の男に、つい、どきりとしてしまう。  何度見ても心臓に悪い顔だ、と秋彦は思っていた。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!