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いや、そのわかってそうで、いまいち、人の気持ちがわかってないところとか。
わけもわからず強引なところとか。
貴方が、今の人格のなにを捨てなくても、高坂さんだし。
吐き出す言葉ひとつで、私の心を大きく動かせるのは貴方だけだから――。
「踊ろうか」
利樹は、いきなり、そんなことを言い出した。
「踊ろう」
「は?」
利樹は真生の手をとり直すと、下から聞こえてくる花のワルツに乗せて踊り出した。
「……お、踊れたんですか?」
おっかなびっくり利樹の動きに合わせながら、真生がそう訊くと、
「いや、弓削利樹は踊れない」
と利樹は言う。
少し、機嫌よく。
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