【6】

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「終わったわ。帰りましょ。また情報仕入れたら教えてね」  大滝さんはハンカチで手を拭きながら、私を押し出すようにして給湯室を後にした。 (彼女か……) 「はぁ……」  無意識にため息が零れた。ふわふわと浮かれていた気分が何故かもやもやと萎んでしまう。 (やっぱり疲れてるんだわ。今日はそのまま帰ろう) 「どうかした?」  私の心を読んだかのように、後ろの大滝さんが声を掛けてくる。 「何でもありません。今週も疲れたな、って」  くるりと振り向くと彼女は声を出して笑った。 「アハハ。何言ってんの。今週は三日しか無かったでしょ。元気出しなさい。若いんだから」 「そうですね」 「そうよ! 私なんて明日からずっと主人が居るかと思うと、それこそうんざりなんだから」  ばしばしと背中を叩かれる。今頃旦那さんは盛大なくしゃみをしているに違いない。 「さ、急がないと。ケンに叱られちゃうわ。お疲れ様ー」 「お疲れ様です」  大滝さんは私を追い越して小走りにロッカールームへ行ってしまった。私はゆっくりとその後ろ姿に付いていく。 (そうね。大滝さんの言う通りだわ。やっぱり買い物してから帰ろう。折角の連休だもんね)
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