【7】

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「私が思うに百瀬さんはパワハラとか、セクハラとかそう言うことじゃないんだと思います」 「気ィ遣うなよ」 「ええ。ただ細か過ぎるのが原因かと」 「細か……ってそこか?」  そこですよ、と頷いた。 「百瀬さんは顔は怖いですけど、正直、中身は怖くはないですし。細かいなぁ、きっちりしてるなぁって。寧ろそれが怖いです。私なんて、いい加減だから」  てへへと笑うと、百瀬さんは額に手を当てて嘆息する。 「原…………お前、正直だな」  額に置かれた手が、そのまま前髪を掻き上げた。さらさらと落ちる黒髪は癖の無いストレート。私はにっこりと目を細める。 「言えって言ったのは百瀬さんじゃないですか」  百瀬さんはぷっと吹き出した。 「くくく。そうだな。原は間違ってねぇか」  細い瞳が三日月を描く。白いマスクがクツクツと揺れている。 「そうです」  私は頷いて、頬に落ちた髪を耳に掻き上げた。ずっと立ち話をしていた所為か頬が熱い。耳も赤くなっているかもしれない。 (なんだろう)
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