【7】

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「百瀬さん」 「何だ?」  百瀬さんは正面を向いたままぶっきらぼうに応えた。私はその横顔に向かって口を開く。 「私、短期の派遣ですけど、頑張りますから」  百瀬さんがゆっくりとこちらを向いた。吊り上がった眼鏡に赤や黄色のライトが反射している。 「……ああ。そうしてくれ」  七色のレンズの奥で、吊り上がった瞳が優しく細められた。 (もう、所詮の短期じゃいられない)  横断歩道がピヨピヨと新しい音を鳴らしている。駅はすぐそこだ。 (もう……後には戻れない)  先に歩き出した百瀬さんを追って、私は一歩を踏み出した。
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