山遊び

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山遊び

向こうの深山で龍が昇る 雲と化した大鷹が羽搏(はばた)く そらそら暗雲 どんがらどんがら呼んでこい 中腹のだいだらぼっちは 誰にも知られず昼寝と洒落込む 野焚きの匂いに隠れた稲の精 野焚きの煙に紛れた煙々羅 一本杉の天辺で小烏(こがらす)遊んで天狗呼ぶ 古木に落ちた雷獣の子 寂しがりな麒麟が迎えに行くよ どんがらどんがら呼んでこい ちんしゃんちんしゃん音鳴らせ 秋穂より先に山の神様降りといで 稲の子迎えに降りといで 伸びた竹で竹とんぼ 欲しい一つ目この指止まれ ころころ子狐ひぃふぅみぃよぉいつむぅなな 葉っぱのお面で隠れん坊 群れた秋茜と戯れ揺蕩う鬼の子 どんがらどんぴしゃ呼んでこい 雨雲紛れて呼んでこい 彼岸に迷うた(たま)をば連れてけ 雨雨しとしと雷鳴鳴らして皆連れてけ びゅうびゅう木枯らし寂しくなるぞ もうすぐもうすぐ雷神来やろう 夕焼け小焼け 帰っといでと鴉が鳴くぞ 猫の子仔猫 畦道帰ろ どんがらどんぴしゃ どんがらどんがら 風車(かざぐるま)手にして帰ろ 彼岸花挿して急いで帰ろ 秋の雷神様は優しいけれども きっと怖い 姑獲鳥の胸に帰っておいで 秋の風神様に ふぅっと吹かれて帰っておいで 影法師に見付かる前に 愛しい子等よ帰っておいで そしたら明日は秋を探そう 秋風の欠片を辿って そこかしこに覗きだした秋を探そう そぉっとそぉっと探しに行こう
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