うわさ

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うわさ

今日は息子の授業参観日だ そして終了後に保護者会がある 楽しみと憂鬱が一度にやってくる日だ 授業参観日の為に仕事を早退きした宮藤純恵は 重い足取りで小学校へ向かっていた 一人息子の勇姿を観るのは楽しみだが その後の保護者会では親同士の押し付け合いが始まる 「授業参観だけでいいのに」 若い、と言うだけで良く仕事を押し付けられ 断るのが苦手な純恵には地獄だった 「はやく終りますように・・・」 そして、独り言を言いながら学校に入って行った 早めに着いた純恵だったが先に数人着いていた 会釈をしながら教室に入る 「おかあさんだ!」 息子の清純が駆け寄ってきた 「きよちゃん、走ったら危ないよ」 「ごめんなさい!おかあさん見つけたからうれしくて!」 甘えん坊の可愛い息子にホッコリしていた 息子は少しだけ話をして満足したのか 自分の席について一度こちらを確認してから 大人しく先生を待っていた 「清純くん、良い子ですね」 隣にいた親御さんに話しかけられて肩が跳ねた 「あ、急にすみません 私、清純くんの後ろの席で遊んでる倉田華奈の父です」 「あ、ああ華奈ちゃんの・・・」 食卓でよく出てくる女の子の名前だったので覚えていた まさかその子の父親と話すことになるなんて こんなことならうちもお父さんに来て貰えば良かったかな そう思いながらも授業が始まるまでお互いの子どもの話しをしていた 時間が近づくにつれ人が増えていく 「はやく来て良かったですね 自分の子どもを近くで観られるし」 「そうですね」 そうこうしているうちに時間になり授業が始まった
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