うわさ

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授業も無事終了し放課後になった 保護者会がはじまる 「あ・・・」 ロの字に置かれた机の上にはネームプレートが置かれる そして、隣の席には先程会話をした倉田さんのネームプレートが置かれていた 「また、お隣ですね」 「そうですね」 お互い愛想笑いを交わし席についた 会議が始まるまでの間暇だったのか、倉田さんが話しかけてきた 「宮藤さん、知ってますかこの学校で噂されてる怖い話」 「ああ、大体どの学校にもありますよね ええと、学校の七不思議みたいな」  「実際に被害があったらしいですよ」 「はぁ」 だからなんだ が一番の感想だった この歳になって未だにそんなもの信じてるわけない 倉田さんはどう見ても私より年上だろうに そんな子ども騙し信じてるなんて とても面倒な人に絡まれてしまったと後悔していた 「噂っていうのがね、気配や視線を感じても絶対に振り向いてはいけない もしも振り向いてしまったら・・・てやつで」 「ああ、ありましたよ私の通っていた小学校でも 実際に被害にあったって言ってる噂も」 「この学校では数年前に新任教師が行方不明になったらしいんです 気配を感じなくなるか、学校から出るかのどちらかしか逃げる方法はないそうで 大人も子どもも関係ないみたいなので宮藤さんも気を付けた方がいいですよ」 「はぁ・・・そうですね、気を付けます」 本当によくある噂話だ よくもまあそんな話をこんなに真剣に語れるもんだ むしろ感心する 純恵はまともに取り合わず半笑いで話を済ませた 会議も終わりに近づいた頃 もよおしてきたのでトイレに立った すみません、と断りを入れトイレへ向かった まだ帰っていない子ども達の遊ぶ声が聞こえる なんだか懐かしさを感じながらトイレで用を足した 水道の蛇口、懐かしいなぁ・・・ そんなことを思いながら手を洗っていると ふと、背後に気配を感じた ん?誰かきた? 隣に並んでくる様子も通り過ぎる様子もなく ただ背後にいるだけの気配 "気配や視線を感じても絶対に振り向いてはいけない もしも振り向いてしまったら・・・" いやいや、何を考えているんだ まだ子ども達の声や、教室から保護者達の声も聞こえる それにこんなに明るい時間に幽霊なんて出るわけがない それでも、何となく後ろを振り向くのはやめておいた方が良さそうだと思った スッと横を向き教室へ向かった 丁度会議も終わったようでみんな帰る準備をしていた 純恵も荷物を取りに机へむかった 「あれ?宮藤さんその子は・・・清純くん?」 また急に隣から倉田さんに話しかけられた 「えっ?その子って?」 「え?今後ろに・・・あれ?気のせいだったのかな」 清純は先に帰ると言っていたのにいるはずがない 「清純は先に帰らせたので違う子がついてきちゃったんでしょうかね?」 「かもしれないですね、すみませんまたまた驚かせちゃって・・・じゃあ、帰りましょうか」 そう言って倉田は席をたった 純恵の額には汗が浮かんでいた いまだに気配がする それも大人ではない 息子と同じくらいかそれよりも小さい 荷物を詰め終えた純恵も未だに気配のする後ろを 振り向かないように教室を後にした
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