うしろ

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うしろ

ゾロゾロと教室から出ていく そしてそのまま階段へ向かっていた 純恵は一番後ろを歩いていた 「きよくんママー!」 突然後方から声を掛けられ肩が跳ねる 「あ、ごめんね〜ちょっと手伝ってもらいたいの〜! 申し訳ないんだけど戻ってきてくれない?」 教室を出る前に言って欲しかったが そんな事を言える度胸も断る理由もなかったので 振り返らずに返事を返した 「分かりました〜!ちょ・・・ちょっと待っててください!」 純恵は振り返ることが出来ず誤魔化しながら階段を駆け下りた そして廊下を走り反対側の階段を駆け上った 「あらっ!びっくりしちゃった〜何かあったの?」 「い、いえ・・・ちょっと走りたくなっちゃって それよりも何を手伝えばいいんですか?」 久しぶりにダッシュして息切れをおこしながらも 何事もなくなかったかのように振る舞った 「若いっていいわねぇ〜ふふっ そうそう、これを一緒に運んで欲しいの」 今日の保護者会の為に先生が準備してくれた模造紙や大量のペンだった 何の為にこんなに準備したのだろうか・・・ 「確かにこれは一人じゃ重たそう・・・行きましょうか」 「ありがとう〜!ごめんね〜最後まで残らせちゃって」 「いいんですよ〜一人じゃ大変ですもんね」 「あ、そう言えばきよくんは?さっきまであなたの後ろにいたけど・・・大丈夫なの?」 また、後ろ、だ 清純はいない あの子はみんなと同じタイミングで家に帰った グラウンドを歩いているのも見た だんだんと血の気が引いていく 「一緒に階段を降りて行ったから靴箱で待たせてるの?」 「え・・・あの・・・」 「だったら手伝わせてる私が言うのもなんだけど きよくんの為に急がなくちゃね!」 「あ・・・・・・は、い」 二つに荷物を分け階段を降りていく 倉田さんも見た 私の後ろにいる誰か 倉田さんが私を怖がらせようとしているのだと思っていたのに まだついて来ている 気配がずっと消えない 余りの恐怖に荷物を持つ手が震える そして汗が滴り落ちる これは走ったからなのかそれとも まさか、そんな だってよくある噂話 ありえない しらない 聞いたことない 実在するなんて まだ消えない 気配 ガラッ と職員室のドアが開いた
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