うしろ

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元気よく開いた職員室のドアから担任の教師が出てきた 「あ、兼元さんに宮藤さん! 職員室まで持って来てくれたんですか あとは私がやっておくのでここに置いておいてください ありがとうございます!」 「いえいえ〜今日はありがとうございました〜」 「・・・はい」 いつの間に職員室に着いたのか 今自分が何をしているのか 純恵は酷く混乱していた 混乱する純恵の横で担任と兼元が雑談を始めていた 純恵は青ざめた顔で呆然と立ち尽くしていた どうして私が 振り向いたらどうなるんだっけ どうしたらいいんだっけ 倉田さんは何て言ってたっけ どうしたら逃れられるんだっけ 私はいったいどうすれば 雑談をしていた担任があれっ?と純恵に話しかけてきた 「宮藤さん さっきの子帰ったんですか?」 「・・・・・・え」 いやな予感しかしない 「えって、宮藤さんの後ろにいた子ですよ〜 見かけない子だったけど、どこのクラスの子だったんだろう」 引いていた血の気がさらに引く めまいがする 「き・・・気のせいじゃないですか!?そんな子ども知らないです!」 恐怖で怒鳴ってしまう こわい 自分の身に何が起きているのだろう 「え?でも」 「もういいですよね!?子供も待ってるし帰ります!」 それ以上担任の話を聞くのが怖くなり 言葉を遮って昇降口まで走った 昇降口につき急いで靴をはいた そして勢いよく立ち上がろうとした グイッ 服を後ろから 何者かから 引っ張られた うそ・・・ うそだよね こわい どうしよう 捕まってしまった こわい こわい 私どうなるの? 目に涙がたまる 冷や汗が滝のように溢れ 震えが止まらない 叫んでしまおうか そう思ったその時 「おかあさん、おわったの?」 聞き覚えのある声がした 可愛い息子の声だった でもまだ気配が消えない 息子ではない気味の悪い気配 息子だと分かってもすぐに振り向くことが出来なかった 「あ、あああああ・・・清純 まだ、いたんだ・・・がっこ・・・」  「うん!おかあさんとかえりたくて」 甘えん坊の息子らしい返事に血の気が戻っていくのを感じた 「そ、そっか じゃあ一緒に帰ろう」 「わかった!・・・ランドセルわすちゃった! おかあさん、まってて!すぐにとってくるから! おいてっちゃやだよ!」 「ふふっ、わかってる 待ってるね」 純恵は息子の必死な声を聞いてつい笑いが漏れた たたたたたっ 足音が遠ざかっていく そして気付いたら気配も消えていた ああ、わたし、助かったのか よかった 清純のおかげだ 純恵は安堵してその場に座り込んだ
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