第1夜 奇

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***************************************************** 「あれ、寝ちゃってた?」 また、動画中に寝落ちをしたのか。 カーテンの隙間から淡い日の光が差し込んでいた。 枕元をまさぐり携帯を探す。 腫れぼったい目で、画面隅を確認すれば、16:00PM(水)。 中央では乙女ゲームの麗しい殿方が爽やかに微笑んでいる。 「おはよう、白様」 私は画面越しのキスをした。 『お昼はもう食べたかい?』 白様の麗しいボイスが耳に心地よい。 そういえば。 お腹が盛大に鳴った。 凹んだお腹をさすっていたが、一向に治らない。 「仕方ない、買い出し行くか」 ベッドからのそのそと這い上がりカーテンを勢いよく開ければ、空は赤く焼けていた。
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