第2章:落第竜騎士

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 その頃のアリアは。  泣いていた。目から溢れ出る涙は止まらない、ウォルターとは6歳の頃から一緒である。  彼が腐敗貴族達への復讐は7年前から始まった。私の父親の書斎にほか貴族からの手紙があり、それを持ち出し見せるとその日からウォルターは徐々に変わっていった。  それでも10年前に聞いた夢、「最強の竜騎士になる」その夢はウォルターとなら見れると思った。最初は医者を目指していた、彼の見る夢を近くで見て一緒に追いたかった。  だから竜騎士を目指した。けれど優しい世界は7年前に崩れた、彼が復讐を始めた時から私自身も、"貴族である"ならその貴族の間違いは貴族が正さねばならない。彼が向かう中でそう思うようになった。  その中でも見ていた夢はまだあった、ウォルターと一緒に居られると思っていた。  でもウォルターが学園を追い出されては叶えられない。力を失いつつあるウォルターはもうおそらく力を取り戻すことはないだろう。  泣いているのはいつか、もう二度と会えない気がしているからだけではない、ウォルターはきっと私のために離れて私を置いて行く。その言葉を言わせまいと追い出してもいずれは言うだろう、今ではなくとも、それはなによりも私を想うが故に。  なにが、今のところはそのよく男女が想い人に対して言う"例の言葉"は言えないけどな。そんなの言えないのなら言わないで欲しかった。自惚れて居たかった。  それは親しい人が亡くなったような感覚、それが胸中でいっぱいだった。    ・・・
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