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とある教室では対魔物に対する航空戦理論が教えられていた。多くの先人の犠牲によって完結した理論を学ぶ生徒らは必死に頭に叩き込んでいた。そうしながらこの“絶望的な現状を正しく”認識して本当の意味で頭に叩き込むことが出来ているのか、先人達の命の犠牲で成り立つその理論を理解しているのか、甚だ疑問である。
まずもって“誰かがきっと、なんとかしてくれる”など、信じるにしては非現実的かつ他人任せにもほどがある、その一端はおそらくは六二一小隊、六一一小隊にもあるだろう。
本当に身につけているか怪しくも必死に集中する彼らは嫌いなものが二つある、校則に口煩い教員と「ウォルター」と言う黒髪の少年。
少年は“今日もまた”つまらなさそうに、それは死んだ魚のようで不気味に感じられるが、特段何も無いはず。それが今日に限ってはある意味では物々しいことになっている。顔の怪我、数分前にイオに殴られた跡が。
曰く、アリアが手を出さなかったので代わりにとのこと。
その点だけを見るならば理不尽に思えるが、ウォルターから見ると納得の行く道理ではあった。故に問題無いはず、と思いたいだけなのは言うまでもない、いつも一緒のアリアが居ない時点で、付き合っている(多くの人は勝手にそう見ている)ふたりの痴話喧嘩かと、大体の生徒が勘違いをしている(イオが殴ったとバレればそれはそれで問題だが)。
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