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「アンネ、ひとつ頼みがある。八〇六小隊に来てくれないか?」
思考プロセスがエラーを吐く、何故?六二一ではないのか?
予想外で真っ白なっていてもアンネの頭は自動で考えた、まずは八〇六小隊、ハッキリ言えば聞き覚えがなかった。Bランクからは全ての小隊を記憶していると人知れず自負しているが、覚えは無い。
では、特別昇格はあったか?答えは否、それを聞いていないし校内掲示板でも見たことがなかった。
つまり、CランクからEランクの間?少なくともウォルターが所属しているとは思えない。と行き着く、彼は良くも悪くもいや、悪目立ちしかしない。誰も欲しがらないだろう。
となれば本格的に意図が汲み取れない、何故?それは言葉にもなっていた。目の前の少年、彼の目にはどこか切羽詰まったようなものを感じる気がする。
「実はな、その小隊はEランクなんだが俺が指揮官として配属されててな、ランクこそ低いが実力が確かな連中でそれでもまだ前衛が足りなくて欲しいんだ、そこで、来てくれないか?」
言葉を取り繕わないし誇張もしない。ありのまま事実のみを話す、それが彼の誠意の証明と見せ方。
「まあ、考えとくね、それじゃ失礼します」
ウォルターの現状の実力は別として恐らく無能な指揮官ではないと思える。
そこまで考えれば良いと思われるが、それを打ち消せるほど、ウォルターと仲良くしていいことなど、百害あって一利あるかどうか。故にアンネは関わらないことした。
アンネの思考は冒険よりも保守に走った。それを感じ取れないほどウォルターは鈍感ではない。
「待て、今日これから能力テストなんだが試しに見に来てくれ、それで分かるはずだ」
論より証拠、それを実践するのみ。
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