♯2 エタニティ ブルーム

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「今日ライブラリーカフェで、俺に怒ってた子、教育学部の子なんだよ」 「だから?」 声が震えた。 「増本(ますもと)伶菜(れな)ちゃん、付き合ってたんだろ?」 「浬に……関係ない」 バレる。全部。 「あの子狙ってる奴、めちゃくちゃいるのに、なんでセックスしなかったの?」 「っ、」 「それとも、出来なかった(・・・・・・)?」 じっと、ただ射抜かれるような視線に、怖くて。それなのに、思考が麻痺したかのように現実味がない。 「高校の時にさ、すごく俺に懐いてくる後輩がいたんだよ。その子が向ける視線が、どことなく永遠に似てて、」 「俺はっ、そんな話聞きたくない!」 どうせバレてしまうのなら。 もっと前の方が良かった。 いっそ中学の時なら、離れた時間だけ心の修復だって早く出来るのに。 「そのすぐ後に、その子に告白された。だけど断った……その子が男だったから」 こんなの、あんまりだ。 「それで気付いた。永遠が俺を見てた目は、単なる友情だけじゃないんだって……違うか?」 「今さら……俺は何も……言うつもりは無い……帰るから、そこどいて」 動揺で呼吸が乱れる。 浬の体横のドアレバーを掴む。 「どけって!!」 動かない浬を無視して、扉を力任せに押し開けようとした手首が、下から掴み上げられた。 「ちょっ、」 くるりと、浬と入れ替わる形で、俺の背中が扉に押しつけられる。大きくて力強い浬の手に囚われた手首は、ぴくりとも動かせない。西陽が眩しくて、浬の表情がわからない。
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